弁護士による会社破産手続・再生手続SOS

事業譲渡

著者: 弁護士法人みらい総合法律事務所 
代表社員 弁護士 谷原誠

M&Aにより、債務者会社を売却できる場合はよいのですが、買収会社が、簿外債務などが後で判明することを嫌がり、株式の買い取り方式を取りたがらない場合があります。この場合には、第二会社を設立し、事業譲渡を行う方法をとることがあります。

事業譲渡は、一定の事業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産の譲渡であり、資産や従業員などを譲渡します。ただし、原則として債務は引き継ぎません(引き継ぐ場合は一定の要件があります。)したがって、契約関係を承継させるためには、契約の相手方の同意が必要です。

ただし、債務超過の企業における事業譲渡にはリスクもあります。それは、詐害行為リスク、否認リスク、株主総会リスクです。

詐害行為リスクというのは、民法424条の詐害行為取消権を行使されるリスクです。事業譲渡は、財産を譲渡することになりますが、それが債務超過状態にある企業が行ったものであるならば、その譲渡自体が総債権者を害する行為であり、詐害行為に該当するリスクがあるのです。

否認リスクは、債務者会社が破産したときに、破産管財人に否認権を行使されるリスクです。これも、詐害行為リスクと同様に、破産直前などに事業譲渡がされると、その事業譲渡を否認され、譲渡された資産を債務者会社に取り戻されてしまいます。

株主総会リスクというのは、事業譲渡において、重要な事情と全部又は一部の譲渡を行う場合には、株主総会を開いて承認を得なければならないとされていることです。株主は、債務者会社の株主であり、事業を譲渡してしまうと、債務者会社は倒産してしまい、株が実質的に紙くずになってしまうことから、株主総会で事業譲渡に対して反対してしまうというリスクです。

しかし、これらのリスクは、破産手続、民事再生手続、会社更生手続内であれば解消することが可能です。法的手続内での事業譲渡であれば、詐害行為も否認もありません。また、破産であれば管財人が株主総会を開かずに事業譲渡ができます、民事再生手続では、株主総会を開かないでも裁判所の許可による事業譲渡が可能です。会社更生手続でも株主の同意なしに更生計画内での事業譲渡が可能です。

したがって、事業譲渡にリスクがある場合には、プレパッケージ型の法的倒産手続きを選択することにより、リスクを回避することが可能となります。

事業譲渡で事業再生をお考えの方は、必ず法的リスクを検討しなければなりません。そうでなければ、せっかく再生したと思ったら、訴訟などを起こされ、全てを覆される危険性があるからです。

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