会社の破産で社長がやってはいけない5つのこと

会社の破産で社長がやってはいけない5つのこと

ここでは、会社を自己破産させる際に、社長がやってはいけない5つのことについて説明していきます。

✔会社を破産させる手続きは、どうなっているのか?
✔社長は会社破産でどのような義務あるのか?
✔社長が会社の債務を連帯保証しているが、いつ、どうなるのか?
✔社長は会社の滞納税金を負担しなければならないのか?
✔社長も会社と一緒に自己破産しなければならないか?
✔会社破産後、仕事はどうすればいいのか?

色々とわからないことが多いと思います。
1つ1つ疑問を解消し、トラブルなく会社を清算させていきたいものです。

これから、会社を破産させる際の社長の役割について説明していきますが、その前に、会社の破産や再生の手続きについて解説した無料小冊子をダウンロードしておきましょう。

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会社の破産とは?

まず、会社の破産とは、どのような手続きかについて説明します。
会社破産というのは、裁判所を通して会社の債権債務を清算し、会社の法人格を消滅させてしまう手続きです。

具体的には、裁判所に「破産手続開始決定」を出してもらうと、破産管財人が選任されます。その破産管財人が会社の全権限を持って、資産と負債を洗い出し、資産を全てお金に換えます。

そして、滞納税金などの公租公課、労働債権、金融債権、取引債権などを持つ債権者に、法律に従って配当していきます。

そして、全て配当が終了すると、破産手続きは終了し、法人格が消滅します。

まず、ここでは、破産というのは資金がショートして行うことが多く、お金がないことが前提になっていることが多いのですが、破産手続には、ある程度のお金がかかる、ということを憶えておかなければなりません。

資産負債がほとんどない簡単な破産の場合でも、最低100万円は残っている状態で弁護士に相談に行った方がよい、ということです。

そして、会社の社長は、破産管財人に協力する義務があるので、破産申し立てて後は知らない、は通らない、ということも憶えておきましょう。

破産手続は、早ければ数ヶ月間で手続が終わりますが、破産手続の中で裁判が行われたりすると、何年もかかる場合もあります。

破産前になるべく身軽にしておく、という方法もあります。

そして、会社を破産させるに際し、社長がやってはいけないことがいくつかありますので、順次説明していきたいと思います。
 

会社破産手続きのプロセス

ここでは、会社の破産手続のプロセスについて説明します。

会社の破産手続は、次のように進んで行きます。

①弁護士への相談
②破産申立時期の検討
③会社の整理と資料の準備
④弁護士との契約
⑤弁護士から債権者への受任通知
⑥裁判所に対する破産開始手続開始の申立
⑦裁判所による破産開始手続開始決定・破産管財人の選任
⑧破産管財人との打ち合わせ
⑨破産管財人による会社財産の換価・債権調査手続
⑩債権者集会
⑪配当
⑫破産手続終結

以下、順番に説明していきます。
 

①弁護士への相談

会社の破産手続は、弁護士への相談から始まります。
中小企業の社長は、自分が苦労して築き上げた会社を倒産させたくないという思いが強く、どうしても自己破産を後に後ずらそうとします。

「もう少し頑張れば何とかなるかもしれない」と考える経営者が多いように思います。

しかし、多くの場合、それは何ともならず、かえって資金が不足し、債権者を増やしてしまい、かえって迷惑をかけてしまう人を増やしてしまう結果になります。

会社の赤字の累積により債務過多となり、資金ショートが見えてきたら、できるだけ早めに弁護士に相談した方がよいでしょう。

破産手続をスムーズに進めていくには、事前準備がとても重要です。資金ショートの兆候が見えたら、すぐに弁護士に相談しましょう。

 

②破産申立時期の検討

弁護士に相談しても、すぐに破産、というわけではありません。
資金繰りの状況や取引の進行状況などをみて、いつころ破産を申し立てるのがスムーズか、などを検討していきます。

 

③会社の整理と資料の準備

会社を破産させるには、できるだけ会社を身軽にしておいた方が手続がスムーズに進みます。そこで、不要資産を処分したり、賃貸借契約を解除して事務所を減らしたり、という作業を行うことがあります。
また、破産申立には、多くの資料が必要となりますので、資料準備に時間がかかります。
この意味からも、倒産直前で弁護士に駆け込まないよう気をつけましょう。

 

④弁護士との契約

会社を破産させることが決定したら、取締役会決議などの機関決定を経て、正式に弁護士と委任契約を締結します。
この時点で、破産にかかる費用を全て弁護士に支払うのが通常です。

 

⑤弁護士から債権者への受任通知

弁護士が受任すると、多くの場合、債権者に対して一斉に受任通知を送ります。これにより、債権債務に関する窓口が弁護士に一本化され、社長は、債権者対応から開放されることになります。

 

⑥裁判所に対する破産手続開始の申立

弁護士の方で申立書や資料準備が終わると、裁判所に対して、破産手続開始の申立を行います。申立を行った後、多くの裁判所では、裁判官と弁護士が面接等を行って事案を説明します。

 

⑦裁判所による破産開始手続開始決定・破産管財人の選任

通常、申立の数日後に破産開始手続開始決定が出され、同時に破産管財人の選任が行われます。破産管財人は弁護士が就任するのが通常であり、破産会社とは利害関係のない弁護士が選任されます。

 

⑧破産管財人との打ち合わせ

その後、時間をおかずに破産管財人と社長、代理人弁護士で事情聴取と打ち合わせが行われます。これにより、破産管財人が破産処理の方針を立てていくことになります。
破産管財人から、色々と指示されることも多いので、その指示に従って事務処理を行っていくことになります。

 

⑨破産管財人による会社財産の換価・債権調査手続

破産管財人の任務は、会社の財産を全て換価し、それを債権者に配当することです。つまり、会社を解体し、法人格を消滅させることになります。
そこで、不動産や動産の処分、売掛金の回収などを行うとともに、誰が債権者か、また債権額はいくらが適正か、などを調査することになります。

 

⑩債権者集会

破産手続では、数ヶ月に一度の割合で、債権者集会が開催されます。

債権者集会は、債権者が集まり、破産管財人の業務の状況についての報告と質疑応答などが行われます。

一度で終わることもあれば、何年も続くこともあります。

 

⑪配当

破産管財人による換価業務と債権調査が終了すると、配当が行われます。
租税公課が優先的に納付されるなど、法律によって、優先順位が決まっているので、順番に従って配当が行われます。

 

⑫破産手続終結

全ての手続が終わると、破産手続は終結します。途中で配当するお金すら残らない、というような場合には、配当手続もなしに破産手続が廃止されることもあります。
 

破産手続をスムーズに進めていくには、事前準備がとても重要です。資金ショートの兆候が見えたら、すぐに弁護士に相談しましょう。

 

会社破産における社長の役割

会社の破産手続を行うに際し、社長はかなり忙しく働く必要があります。

破産は従業員に発表せずに水面下で準備を行うことが多いので、社長が自分で資料を準備しなければならないことも多いです。
そして、弁護士との打ち合わせもし、資金繰りの状況も監視し、と破産申立前からかなりの業務量となります。

破産申立をし、破産手続が進んでいる間も、社長には、重要財産開示義務(破産法41条)、債権調査期日出頭義務(破産法121条3項、122条2項)、破産管財人に対する説明義務(破産法40条1項、2項)などが課せられます。

また、破産手続き中は、取締役は、裁判所の許可を得なければ、居住地を離れることはできません。

破産手続中は、破産管財人に協力する義務がある、ということです。
 

会社の連帯保証債務は、どうなるか?

中小企業で、金融機関から融資を受ける際に、社長が連帯保証人になることが多いと思います。

会社でリース契約をしたり、事務所などの賃貸借契約を締結する際にも連帯保証をしていることが多いでしょう。

このような連帯保証債務は、会社が破産すると、どうなるのでしょうか。

連帯保証というのは、主債務者が債務を払えない時に、その債務を支払うことを保証することです。

会社が破産して、債務を払えなくなるのであれば、債権者は当然に連帯保証人に請求してくることになります。

会社が銀行から融資を受けている場合などは、債務の額が数千万円、数億円にもなりますので、その負担がとても重いものになります。

社長の個人資産を処分して返済できればよいですが、それでも足りない場合には、社長個人も債務超過に陥ってしまいます。

そこで、会社とは別に、社長個人として債権者と話し合いをし、個人再生、個人破産などを申し立てることになります。

実務上は、会社の破産申立と同時に社長の個人破産の申立を行って、同じ破産管財人が選任され、会社と個人の破産手続を同時並行的に進めていくことが多いです。
 

 

会社が破産したら、取引先に対する負債を社長が負う?

取引先が倒産してしまうと、取引先としては、売掛金を回収できなくなるので、「社長が代わりに払え」と言いたくなるのが人情です。

では、会社が破産した場合には、取引先や金融機関に対する負債を社長が負うことになるのでしょうか。

原則としては、会社と社長は法律上、別人格ですので、社長が会社の債務を負うことはありません。

しかし、前述のように、個人で連帯保証している場合には、個人としても責任を負うことになります。

また、取締役が悪意または重大な過失によって職務執行を怠り、または、計算書類・会計書類・営業報告書等に虚偽記載をしたことによって、第三者が損害を被った場合には、その第三者に対して損害賠償を支払わなければならないとされています(会社法429条)。

たとえば、社長が粉飾決算を行い、赤字であるのに黒字であるように装い、融資を引き出した後、破産したような場合、金融機関としては、真実の決算書を検討していれば、融資などしなかった、ということがあると思います。

そのような場合には、社長が金融機関に損害賠償責任を負担することがあります。

また、金融機関や取引先等の第三者に対す損害賠償責任の他、破産会社に対して損害を与えた場合には、会社に対して損害賠償責任を負う場合があります。

破産手続「役員責任査定制度」というものがあり、破産管財人の調査により、社長に損害賠償責任があると判断された場合には、この制度により、損害賠償を請求される場合があります。
 

会社が破産したら、滞納税金は社長が負担するか?

滞納税金や社会保険料についても、債務の場合と原則として一緒です。

会社と社長個人とでは、法律上の納税主体が別となりますので、会社の滞納税金について社長個人が納税義務を負うことは、原則としてありません。

ただし、納税義務について社長が個人保証をした場合には、当然納税義務を負担することになります。

また、会社の資産を社長名義に移したり、債務超過に陥った後に、他の債権者に先駆けて社長の貸付金だけ回収したような場合には、詐害行為となり、支払の責任が発生することがあります。
 

会社の資産を社長名義にしてはいけない

中小企業の場合、会社と社長は一体だと考える社長も多く、会社の資産は自分のものだ、という意識の人もいます。

また、どうせ会社が倒産するのなら、会社の資産で価値のあるものを自分の名義にしておこう、という人もいるでしょう。

さらには、社長が会社に資金を貸し付けている場合、倒産する前に自分だけ回収してしまおう、という人もいるかもしれません。

しかし、このような行為をすると、破産手続に入った後に、破産管財人から取り戻されてしまいます。

法律用語でいうと、否認権の行使、というのですが、会社の破産を見越して会社の資産を時分名義にする、というような行為はやってはいけません。

無駄に終わる、ということです。
 

会社の資産等を隠したり、低額処分してはいけない

また、どうせ倒産するのだから、ということで、会社の資産や商品等を著しく低い価額で処分したり、資産を隠したり、というようなこともしてはいけません。

場合によっては刑事責任を問われる場合もあります。

以下の行為は、詐欺破産罪といって、刑事罰を受ける可能性があります。

・債務者の財産を隠匿または損壊する行為(破産法265条1項1号)

・債務者の財産譲渡または債務負担を仮装する行為(同項2号)

・債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為(同項3号)

・債務者の財産を債権者の不利益に処分しまたは債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為(同項4号)

・債務者について破産手続開始の決定がされまたは保全管理命令が発せられたことを認識しながら,破産管財人の承諾その他の正当な理由がなく,その債務者の財産を取得しまたは第三者に取得させる行為(同条2項)

以上のように、場合によっては刑事責任まで問われることもありますので、会社破産手続においては、会社資産を隠す等は決してはしてはいけません。

破産手続をスムーズに進めていくには、事前準備がとても重要です。資金ショートの兆候が見えたら、すぐに弁護士に相談しましょう。

 

会社破産前に特定取引先に優先弁済してはいけない

会社を破産させる前には、これまでの会社の歴史を振り返ることになります。

破産ということは、債務を全て支払えない、ということですから、これまでお世話になった取引先にも迷惑をかけることになります。

そこで、社長の中には、お世話になった取引先にだけは迷惑かけたくない、という理由で、特定の取引先にだけ優先して弁済をする、という方がいらっしゃいます。

しかし、そのような行為をしても、後日、前述した否認権の行使により、取引先からお金を取り戻されてしまうこともあります。

かえって迷惑をかけてしまうことになりますので、してはいけません。
 

社長の自宅を配偶者に名義移転してはいけない

中小企業の社長は、会社が金融機関から受けている融資について、連帯保証人になっていることが多いです。

会社が破産すると、債権者は、当然連帯保証人に請求してきます。

そこで、会社破産と同時に、社長も個人破産することが多いのですが、中には、自宅だけは守ろうとして、破産直前に自宅を配偶者に名義移転してしまう、という人がいます。

しかし、これもしてはいけません。

会社の場合と同様、個人破産の場合にも、否認権の行使により、自宅が取り戻されてしまうでしょう。
 

破産管財人へ非協力的な態度を取ってはいけない

破産申立をし、破産手続が進んでいる間、社長には、色々な義務が課せられます。

重要財産開示義務(破産法41条)、債権調査期日出頭義務(破産法121条3項、122条2項)、破産管財人に対する説明義務(破産法40条1項、2項)などがありますし、破産手続き中は、取締役は、裁判所の許可を得なければ、居住地を離れることはできません。

破産手続中は、破産管財人に協力する義務がある、ということです。

したがって、社長は、破産管財人に非協力的態度をとってはいけません。
 

社長の個人破産について

中小企業の場合、社長も連帯保証をしており、会社と同時に自己破産の申立をすることが多いです。

そうすると、多くの場合に、会社の破産管財人が個人破産の破産管財人にもなって処理を進めていきます。

個人破産の場合、会社と違って、破産しても生きていきますので、どこかで区切りをつけることが必要です。

それが、破産手続開始決定時です。

個人の資産があると思いますが、個人破産では、破産手続開始決定時に有している資産を全て換価し、債権者に配当することになります。

その後、就職などして資産を築いたら、それは、全て個人の自由財産になります。

個人破産をしても、その後の努力次第で大きな資産を築く可能性がある、ということです。
 

最後に

以上、会社の破産手続で社長がやってはいけないことを説明してきました。

会社の破産は法律のるつぼと言われており、法律関係が錯綜します。

倒産の兆候を感じた時には、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。

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